ソーシャルブレインフォーラム(Social Brain Forum:略称SBF)
-知識社会の社会基盤・サービス基盤となるイノベーションプラットフォームの創出-
SBFが提供するのは、「情報通信技術がもたらす新しい価値パラダイム」の創造に関心を持つ全ての人に開かれた議論する空間。さまざまな組織の枠を超えて、学問、産業、行政機関、NPO、さらには生活者など多様な人々が集い「サービスサイエンス」を自由に語り合う広場。SBFとは一体どのようなものなのか。たとえるならそれはオンガクのようなものかもしれない。
もしも誰かが、古今東西のありとあらゆる音楽理論や楽器について豊富な知識を持っていて、最先端の作曲法やハーモニーについて研究しているとしたら、あなたは当然その人に素晴らしい演奏も期待するはずだ。たとえプロほどではなくても、その人なりの音楽への愛を感じさせる演奏を聴かせてくれるものと思うはずだ。ところが、もしその人が、他人と一緒に演奏するのが苦手でほとんど楽器に触れようともしないと知ったら、あなたはどう思うだろう。その人の最先端の音楽理論のことを信用できるだろうか。
Social Brain Forum(SBF)では、専門領域の研究者が陥りがちなこの「孤独な理論」の牢獄から研究者を解放し、「一緒にオンガクしよう」と呼びかけたい。他のプレイヤーとセッションするグルーヴ感を共有し、観客の賛嘆と熱狂を共に味わいたい。世界のどこにもない曲を、誰も聴いたことがない曲を、一緒に奏でたい。
孤高の研究者たちは余計なお世話だというかもしれない。最先端の領域で国際的な競争のまっただ中にあるラボは冗談を言うなと怒るかもしれない。それはまったくの誤解である。SBFは、休み時間に本を読む学生を無理矢理校庭に引っ張りだす体育会系の先生ではない。望まぬ人を無理矢理引きずり出したりはしない。ただ、学際的、業際的、国際的なコラボレーションの中で生まれる価値の高さを確信していて(その豊富な事例研究はこのサイトの中でも紹介していこう)、研究室に研究の先端領域が埋蔵されがちなことを知っているだけだ。
研究者の汗と結晶の成果のゴールは論文ではない。その研究の成果以前には誰も予想しなかった形で世界を示してみせるためにはもっと先がある。早い話、その成果に興味を持つ人はその論文の読者ではないかもしれない。別な領域の別な知見と照らし合わせることで新たな社会的価値を創出できるかもしれない。その成果をパズルの最後のピースのように探している人がどこかにいるかもしれない。SFBは、そのような、領域を超えたコラボレーションによる価値の創発を信じ、楽しめる人のための交流の拠点である。
SBFがめざすのは、社会に歓迎される価値を次々に生み出すボーダーレスなインフラづくりだといってもいい。それは言い換えると、誇りを持って働ける環境の創出ということになるだろう。ただしそれは、いままで通りの大学や企業や政府の中ではなく、それらを超えた新たな領域に生まれるはずだ。冗談のように聞こえるかもしれないが、SBFはまずSBFのあり方そのものをコラボレーションの対象としたい。与えられたものをそのまま使うのではなく、自ら関与して使い勝手を向上させながら、より高い目標に向かうためだ。
経済、環境、紛争、エネルギー、資源、食糧、人口……。世界には解決しなければならない問題がたくさんあり、その多くはまだ解決のめどが立っていない。SBFは、全く新しい価値を生む手法として、領域を超えたコラボレーションを信じる全ての人に門戸を開き、歓迎する。そしてここから、いまだかつて誰も触れたことのない、世界を変えるオンガクが流れ出すことを心待ちにしている。